花の画家

森の中に住み、四季折々の植物や花を描いています。

書評のご紹介

「四季のきせき」読者からの嬉しい書評を頂きました。「きせき」にもう一つ素晴らしい意味を加えて頂きました、「帰昔」。時代が進んで便利になった一方で、失ったものは多いと思います。
 
他にも嬉しい書評を頂いているので、こちらでまたご紹介しようと思います。
 
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画文集「四季のきせき」(プールストラ 愛)
「こぼれ落ちる木漏れ日に心満たされるあたりまえの日常・・・。」
 
福岡県うきは市に自生する植物や動物たちの情景を、月毎に表現されています。ふと、見逃してしまいそうな草花たちの煌めきに、はっとさせられたり、蝶や鳥たちの息遣いが聴こえてくるようです。
視界に入っていても、実は観ていない自然の美に改めて気づかせてくれる画集です。さらに愛さんの瑞々しい感性や自然への愛が、飾らなくとも優しさに満ちた言葉で語られています。それらの文章は、もしかしたら絵画以上にリアルに自然の情景を伝えてくれているように感じます。
私たちは美をどこかに捜しに行かなくても、身の回りに存在しているのです。その美に気付けた人は、それだけで幸せを見つけた人だなと思います。
タイトルの「きせき」という言葉には「奇跡」と「軌跡」、両方の意味が込められているとのことです。あたりまえの日常が奇跡の連続であること、日常の感動が軌跡となって、豊かな人生を作っていくのでしょう。そして、もうひとつ意味を与えるなら、私は「帰昔」にしましょう。モノが増えて豊かになったように見えても、実は心は貧しくなってしまったのが現代ではないでしょうか。そろそろ昔に帰りましょうよ。何もなくていいのではないでしょうか。四季の自然と共に生きる、自然の愛を愛でながら生きる、これほど豊かな生き方はないように思います。
 
大野博人さん(愛知県在住)
 
2020年MINOU BOOKSでの個展用に描いた「野ばら」